書評

3大穀物と3大肥料について

どうもさむえるです。今回も「エネルギーをめぐる旅ーー文明の歴史と私たちの未来」 著者 古館恒介を読んでエネルギー以外の穀物、肥料について書いていこうと思います。

 

3大穀物

3大穀物であるムギ、イネ、トウモロコシがいずれもイネ科の植物だということも私は知りませんでした。保存が長期間できるというのはすごいことですよね。昔は冷凍技術もないので常温で腐らないというのはありがたかったことがわかりますよね。トウモロコシは世界三大穀物の中でも生産量が頭一つ抜けているそうです。小麦が約7億トン、米が約5億トンそれに対してトウモロコシは、約11億トンも生産されているのです。トウモロコシが小麦や米と違うところは種子がつく位置です。トウモロコシの実は、茎の中心付近に生っていること見て取れます。一方で小麦やイネは、実は頭頂部に生っています。この構造上の違いは極めて大きいものです。また、光合成の方法に違いがあります。トウモロコシの方が多くの炭素多くの炭素を固定化できるため成長のスピードが速くなるそうです。

トウモロコシは人類の食用の域を遥かに超え、今や一番の消費者は、牛や豚、鶏などの家畜たちになっています。トウモロコシの生産量の増加には工業化が関わっています。工業化の第一の波は、人工肥料の活用です。トウモロコシは成長が速く収量が多い分、その効果を最大限に発揮するためには大量の肥料も必要とします。それを支えたのが、大量のエネルギー投入を伴うハーバー・ボッシュ法によってもたらされた人工肥料の潤沢な供給でした。第二の波は機械化への対応です。品種改良の結果、単位面積あたりの収量が多い交雑種が作られるようになりました。第三の波は除草剤や殺虫剤との組み合わせの促進による工業化です。

肥料の正体

植物の栄養素の解明は、ドイツの化学者ユストゥス・フォン・リービッヒの手によってなされました。当時のドイツは化学をけん引する存在であったうえ、ドイツの土地はヨーロッパのなかでは痩せていたため肥料に対する関心が高く、それがドイツが肥料分析の世界をリードすることにつながりました。

リービッヒは化学分析の手法を駆使し、窒素、リン、カリウムが肥料の主成分であることを突き止めます。ついに栄養素の正体が元素レベルで明らかになったのです。彼はそのうえで、有機物を堆肥としなくとも、窒素、リン、カリウムを直接投与することで効果が上げられると主張します。このように生物由来ではない物質を無機物といいます。これは土を使わない水耕栽培の成功により証明されることになりました。

土地がが痩せているということは、これらの必要元素が土壌の中にあまり含まれておらず、植物が生育に必要な栄養を十分に補給できない土地であるということになります。

なお、肥料の三要素のうち、カリウムは植物の直接の構成成分ではありません。カリウムは水に溶けてイオンになりやすい電解質としての特性を持ち、細胞液のなかにカリウムイオンとして存在し、植物内での様々な化学反応を助ける役割を担っています。

3大肥料のうちの窒素は空気中に約80%も含まれているので窒素を固定化する必要がありました。すなわち、窒素原子と水素原子を結びつけてアンモニアを合成する必要がありました。

ハーバーボッシュ法と呼ばれる製法で水素と窒素を反応させてアンモニアを生産することが可能になりました。その結果、3大穀物の生産量が増えて人口爆発を起こることになります。

私の知らない内容ばかりだったのでとても面白かったです。世界的な穀物不足が懸念されているなかでこの書籍は必ず読まなければならない本だと感じました。今や肥料関連の銘柄も人気になっているのでそのような銘柄への投資も考えてみようと思いました。みなさんもぜひ読んでみてください。

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